20120501

リレーエッセイ



『午前十時の映画祭』



gozen10





 これまで泉でも度々紹介されていましたが、私も「午前十時の映画祭」の大ファンです。
 赤の50作品も40本以上は観ましたし、現在上映中の青の作品もほぼ毎週チャチャタウンに通って観ています。
 しかし今でこそ近場のシネプレックス小倉でありがたく観ることができますが、この映画祭の要綱が発表になった時、博多にしか上映館がないことにとても落胆しました。
 でも一度限りの催しだと思っていましたし、今見逃すと一生映画館で観ることはできないんじゃないかという想いから、博多まで通うことを決意しました。
 そして半年ほど過ぎてからでしょうか、大好評につき第2回の開催が発表され、しかも第1回の映画を小倉でも観ることができると分かった時には狂喜し、かつこれからは博多まで通わずにすむと安堵したものです。
 最初からこのことが分かっていれば多くの時間とお金を使う必要はなかったわけですが、でも全く後悔はしていません。それどころか今となってはとてもいい思い出です。
 開催当初はネット上でもお祭り状態で、この企画を心待ちにしていた日本全国の名画ファンの間で大変盛り上がっていました。そして天神東宝ではいつも満席に近く、立ち見がでたり上映後拍手が起こったことさえあります。
 このように同時代のイベントにみんなで参加しているというこの感覚こそが、映画を映画館で観る醍醐味だと思うのです。部屋でDVDを見るのとは全く違う体験です。
 それにしてもどの作品も歴史に残る名画だけあって、今観ても全く色褪せていませんね。それどころか、逆にすごく新鮮に感じます。
 個人的なベストは赤では「天井桟敷の人々」、青では今のところ「サンセット大通り」です。
 しかし毎週午前十時からのこんな至福なひと時も今回で終わってしまうんですね。フィルム上映館の減少などいろいろと難しい問題もありますが、やはり映画は映画館で観るに限りますね!





(北九州の泉 2012年5月号搭載)