20170722

例会まとめ 『トランボ〜ハリウッドに最も嫌われた男』



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 6月例会『トランボ~ハリウッドに最も嫌われた男』は如何でしたでしょうか?この映画は公開時、北九州では小倉コロナワールドでしかやっておらず、それもすごく短期間で終わってしまったのでほとんどの方は観る機会がなかったと思います。しかしご覧になってお分りのように大変すばらしい内容の映画ですし、また会員さんの多くが若い時に観られたであろう映画が数多く登場するこの作品は、必ずや皆さんの賛同を受けると思い、調整枠に推薦しました。
 そうしたら予想を大きく超えた反響で、参加率は年間の中でもほぼ最高、またアンケート結果でも最高の評価を頂き、この映画を例会にすることができて運営部、鑑賞対策部とも本当に良かったと思っています。
 ところでトランボの人生が分った上で改めて彼の作品を見返してみますと、どの作品にも心が折れない人が描かれており、彼の信念が反映されているように思えます。例えば『スパルタカス』で奴隷の反乱軍がローマ軍に捕まってしまい、「首謀者のスパルタカスを差し出せば、お前たちの命は助けてやる」と迫られる場面がありますが、そこで奴隷たちは「私がスパルタカスです。私を殺してくれ。」「いや、私がスパルタカスです。」「いや、私が・・」と次々と立ち上がってスパルタカスをかばう有名なシーンがあります。これなどは、現実には裏切られたハリウッドに対する叶わなかった理想を描いているように思えます。
 また『パピヨン』での主人公(スティーブ・マックイーン)が脱獄した後に言った最後の言葉、「ざまあみろ!俺は生きてるぜ!」というのも、ハリウッドやアメリカ政府に対しての心の叫びのように思えてきます。
 そして一見ラブロマンスものに見える『ローマの休日』も、恋に逃げるのではなく、想いは胸に秘めたまま、王女としての責任を全うしようとする信念の人を描いた作品と捉えることができるのかもしれません。





(北九州の泉 2017年8月号搭載)