20190924

例会まとめ 『ザ・ビッグハウス』



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 ドキュメンタリー映画というのは中立的な立場で客観的に物事を捉え、真実を明らかにしていくものと思ってしまいがちですが、実はほとんどのドキュメンタリー映画には最初に答えがあります。監督や製作者側に伝えたいものがまずあって、それを作品とするために台本が書かれ撮影され編集されていきます。
 だからといってそれが悪い事だとは思いません。素晴らしいドキュメンタリー映画というのは数多くあります。ただ、ドキュメンタリー映画というものはとても主観的で意図的なものだということを、観る際には常に頭に入れておく必要はあると思います。
 しかし想田監督はそういった従来の手法は取らず、予定調和を排し、答えは分らないままそこに何かが浮き出てくることを信じて撮影を続けます。そして想田監督のすごいところ、世界から評価されているところは、これまでのどの作品でも、まさにその何かが確かに浮き出ている点にあると思うのです。そこが最高にスリリングなところです。「ザ・ビッグハウス」をご覧になってみなさんはその何かを感じてもらえたでしょうか?
 私はこの映画を観て、日本とアメリカはやはり全く違うという思いを新たにしました。しかしながら世界中にすごい影響力を持った国なので、好きであれ嫌いであれ我々はアメリカとは否が応でも付き合っていかなくてはなりません。その際にアメリカとはどういった国かということを理解しておくことはとても重要なことだと思います。
 最近のアメリカはイランへの対応などを見ていると、何か戦争がしたくて仕方がないようにも思え、とても危険な状態だと思います。
 しかしそうはいってもアメリカ人一人一人はみんな気さくないい人たちなのでしょう。もし今後の人生でミシガン出身のアメリカ人と知り合うことがあったなら言ってあげましょう。「ゴー・ブルー!」と。





(北九州の泉 2019年10月号搭載)