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11月例会まとめ 『スペシャルズ!〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜』



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 11月例会はフランスの自閉症ケア施設の現状をリアルに描いた作品でした。いろいろと考えさせられる映画だった思います。
 観た人の感想で、「ブリュノとマリクは何故あそこまで他人のためにつくせるのだろう?」といった疑問がありました。確かにこの映画ではどういった経緯でこの施設を運営するようになったとか、またユダヤ教徒とイスラム教徒の彼等がどうして親友になったかなどといった過去の話は全くありません。なので推測するしかありませんが、黒人青年のディランにマリクが語った言葉にヒントがあるように思います。重度の障害を持つヴァランタンを見失うという失態を犯してしまって、もう辞めると言ってきたディランに対してマリクは、「お前は居場所がなくてここに来たんだろ?子供たちは贈り物だ。居場所ができたのも全部あの子たちのおかげだ。このチャンスを逃すな。」と言い聞かせました。しかしこの言葉はそのままブリュノとマリクにも当てはまっているのだと思います。彼等がどんな人生を歩んできたかは分かりませんが、でもたぶん彼等もここでやりがいと自分たちの居場所を見つけたのでしょう。ただ彼等がすごいのは、決して誰も見捨てないと決意していることです。ここがすごいところで、これは誰にでもできることではありません。ただこの映画は実話ですし、実際に彼等のような人たちもいるということこそ、この世界の希望だとも思えます。
 ガンジーの言葉で、「あなたが世界はこうあって欲しいと願うならば、あなたが行動して変えていきなさい」というのがあります。ブリュノとマリクはまるでこの言葉を実践している人たちのようです。わたしたちは彼らのようにはできないかもしれませんが、でもほんの少しでも良い方向に変えていけるように行動していきたいと思わせてくれる、そんな素晴らしい映画だったと思います。





(北九州の泉 2022年1月号搭載)